ビッグモーター事件について2

‌ 28日、損保ジャパンがビッグモーター社との損害保険代理店委託契約を解除すると発表しました。

双方の合意に基づかない一方的な委託解除は、保険代理店にとってまさに、死刑宣告です。

 

 委託契約は労働基準法に守られた雇用契約とは違います。「お前、明日からクビ!」というのに理由など必要ありません。その日から収入も顧客も、代理店としてのすべてを失うこととなります。ビッグ社は保険専業ではないので、死刑宣告とまでは行かないまでも、いわば損ジャ社から果たし状をを突き付けられた、といった心持ちではないでしょうか。

 

 私もかつて複数保険会社乗合交渉の際、旧あいおい損保から同じく死刑宣告を受けたことがあります。内容証明で送られてきた封書を開いた時の衝撃を、未だに忘れることができません。勿論置かれた立場もスケールも全く違います。しかし、現代社会における、言わば命のやり取りを経験したものとして、両者の気持ちが少しだけわかるつもりなのです。

 

 制裁与奪の権利を行使して相手の命を奪いに行ったであろう損ジャ社には、少なくとも故意的な不正の関与はなかった(していない)、確実な自信、裏付けがあるのではないかと推察します。相手も中古車業界ナンバーワンの実績を誇る大企業であり、強敵です。そこに宣戦布告するのですから、この後何らかの反証を突き付けられて、あっという間に白旗・・・まさか、そんな醜態を晒すような間抜けなことは決してないでしょう。取り敢えず、私はそう信じることにしました。

 

 損ジャ社の保険商品には、他社にない有利なものがあります。例えば、自動車保険でいえば自力走行不能な故障損害でも保険金がおりる車両保険(東京海上日動にもありますが、内容が限定的)。火災保険では、一戸建住宅での水災補償のみを外した保険引き受け(決してノーリスクではありませんが、高台の住宅に水災補償を求める方は少数派)。

 

保険は、保険業法や保険法に定められた、いわば社会の公器です。どこの保険会社でも同じルールに則って運用されている訳ですから、やはり選択の第一判断基準は、純粋に補償内容と保険料であるべきかと思います。それを公平な立場で比較選択の机上に載せ、お客様に選んで頂く。それが私の役割です。

 

 マスコミ報道はこれからも続くでしょうが、私としては保険選びの選択肢の一つとして、これまでと変わらず損ジャ社の保険商品を取り扱うことにします。そして、社会公器たる保険という存在の根本を揺るがすこの大問題を、一保険募集人としてさらに注視していきます。